こんなはずじゃなかった!? 留学トラブルを防止するためにできること

 
留学を志すあなたは、インターネットや雑誌などで、一生懸命情報収集されていることと思います。また、ご兄弟やお友達、先輩後輩など、身の回りにも留学経験者が増えてきて、さまざまな体験談を耳にされることでしょう。

インターネットで検索すれば、星の数ほどのエージェントや留学プログラムの情報、留学体験談、掲示板への書き込みなどが氾濫していますね。なかでも、失敗談や、学校、業者、ホームステイ先でのトラブル、詐欺まがいの業者に関する怒りのコメント、苦情などなど、マイナスの情報を目にされる機会は、とても多いと思います。記憶に新しいところでは、大手留学仲介業者ゲートウェイ21の破綻で、留学希望者が支払った9億5千万円もの留学費用が返還されず、すでに留学中の留学生も留学を中止せざるを得なくなったという事件もあります。

― 出発の日、空港で航空券を渡してもらえると聞いていたのに、空港に行ったら誰もいない。業者とも連絡が取れず、支払った航空費用、滞在費、学費をすべて持ち逃げされた。
― 学校やコースが、事前の説明とぜんぜん違った。解約しても返金は一切なかった。
― 渡航してしまうとそれまで。何のフォローもなく、困ったときに知らん顔された。
― ホストファミリーが「大ハズレ」。

まるで、「裏切られる」「話せるようにならない」「エージェント=ぼったくり」とでも言わんばかり。 どうして、このような状況になってしまっているのでしょうか?

 

 

 

まずひとつには、留学業界を取り巻く法的な問題があります。例えば、旅行業界には「旅行業法」という特別法で規制が行われています。しかし、留学業界は「留学業法」といった法制度が全く存在しません。いわば、「野放し状態」です。極端な話、一度も留学経験がなくても、何の資格も持たなくても、「ハイ、私は留学エージェントです」と言えば、それがまかり通ってしまう業界なのです。手数料も、無料から数十万円までと、まさに言い値です。そんなことから、一部の誠意のない業者によって、「悪徳エージェント」「ぼったくり業者」という単語が生まれるほど、留学業界のイメージは地に落ち、留学トラブルが急増しているのが現状です。

また、最近では、1週間のプチ留学、フラワーアレンジメント、アクセサリー作り、お料理レッスンなどなど… 数週間から旅行感覚やおけいこ感覚で気軽に参加できるプログラムが登場し、誰もが簡単に留学できるようになりました。このような手軽な留学が流行るにつれ、「楽しさ」や「すぐに語学力が身につく」といった安易なイメージばかりが強調される風潮にあります。

カナダ。そこは英語(フランス語)オンリーの環境です。言葉も文化もぜんぜん違う家族と、毎日生活をともにするわけです。それは、いくら事前に覚悟していてもキツイもの。それを、旅行の延長のような気持ちで気軽に渡航してしまったら、その精神的なショックとストレスは相当なものになります。結局、何も身に付けないまま、「辛かった」「つまらなかった」「事前に聞いていた話とぜんぜん違った」という思い出だけを持って帰ってきてしまう例も、よく聞かれます。

留学生は、留学に多額の費用をかけるだけでなく、言葉や文化、生活様式の違う海外で学校に通いながら生活を送るという、危険と隣り合わせの環境に身を置くといっても、過言ではありません。しかし、同時に、こういった環境でさまざまな異文化体験をして、語学力を身につけることは、何物にも代えがたい大きな財産になります。

私たちは、留学は未来の自分への大きな投資と考えています。事前の認識の甘さや、一部の良心的でない留学業者によって、この投資を無駄に終わらせてしまう人がでてしまうのは、あまりに残念なことです。留学生となるあなたを取り巻く、このような環境の中で、トラブルを未然に防ぎ、この投資から最大のリターンを得るにはどうすればよいのでしょうか?

 

 

 

<エージェント、使う?使わない?>

「留学事業者(エージェント)を使う場合」、「自分で手続きする場合」のメリットとデメリットについてお話しする前に、エージェントの種類を簡単にご説明しておきましょう。

留学エージェントには、活動拠点を日本国内に置くエージェントと、カナダに活動拠点を置く「ローカルエージェント」という、大きく分けて2種類あります。日本のエージェントでも、カナダ国内にオフィスを置いているところもあります。また、手続き代行手数料を設定しているところや、無料で手続きをしてくれるところもあります。

ローカルエージェントは、主にワーホリなどで、何も決めずに身ひとつで渡航してきた生徒さんからの相談を受け付けて、学校や滞在先を紹介しています。数は多くありませんが、日本からの入学手続きを受け付けることもあります。

では、エージェントを使わずに個人で直接、現地の学校に申し込む場合から見ていきましょう。この際のメリットは、なんといっても手数料がかからないことです。FAXや郵送費用、送金手数料など、かかるコストは実費のみです。また、手続きはたいていの場合英語やフランス語ですから、全部やり遂げたときには、相当の自信につながります。

デメリットとしては、やはり時差も言葉の違いもある相手とのやり取りですから、誤解や行き違いが生じやすいという点が挙げられます。いざ現地に着いてみたら、出迎えの人がいなかった、違うコースに登録されていた、さらに教材費やらなにやら、と請求された、といったことも。

また、日本とカナダでは職業意識が全く異なるため、カナダ人の仕事の進め方に不慣れな人の場合、かなりのストレスになります。カナダ人は、まず残業をしません。「仕事をする上で、もっとも大切なことは、定時に帰ること」というお国柄ですから、5時を1分でも過ぎたら、電話にも出ませんし、メールの返事も一切しません。最近は、少しマシになってきた気はしますが、それでも日本の感覚で考えていると大変な目に遭います。事実、カナダの郵便局には【明日でいいものは、明日しよう】という張り紙があるぐらいですから!(冗談じゃないところが、コワイですよね。) 渡航までに時間がある人なら、まぁ気長に待ってみようか~、で済みますが、時間がない場合、英語でプッシュするのは大変。同じく、やっと送られてきた書類に不備でもあったら、また一苦労です。

次に、エージェントを利用する場合です。ここでは、日本のエージェントの場合についてお話します。デメリットは、もちろん、手続き費用がかかる場合があること。価格帯は無料~数万円までとさまざまです。サービスの中には、あなたに必要のないものも含まれているかもしれませんし、英語ができるようになってから思い返せば、自分でやればコストダウンできたのになぁ、なんて思うかもしれません。

逆に、メリットは、煩雑な手続きを任せられることです。出発前のストレスの種や手続きに費やす時間は少しでも取り除いて、その間にフレーズや英単語の一つでも覚えてしまう、ということもできます。特に、出発まであまり時間のない方は、エージェントを利用したほうが手続きはスムーズです。万一、書類の不備やホストファミリーのミスマッチがあっても、そんなことには慣れっこのエージェントは迅速に対応してくれます。

また、エージェントを利用する隠れたメリットがあります。エージェントと学校は、ビジネスの関係で成り立っています。エージェントは、学校にとっては生徒さんを紹介してくれる「ビジネスパートナー」ですから、手続きを後回しにしたり、手続きに不備があれば、今後生徒さんを紹介してもらえなくなるかもしれません。

エージェントを通して留学してきた生徒さんは、エージェントが生徒さんの身元保証人のような役割を果たしますから、仮に生徒さんが学校に来なくなったり、トラブルを抱えてしまったりした場合に、エージェントにコンタクトを取ることができるので、学校としても安心して受け入れることができます。個人で登録される生徒さんは、言葉は悪いですが、どこの馬の骨か分からないわけです。生徒さんに何かあっても、学校は相談する先がありませんから、少し警戒します。そういう事情があり、エージェントを通す手続きが優先され、個人登録が後回しにされることは、多々起こります。

さらに、細かい話になりますが、ローカルエージェントは勝手に学費を割り引くことが当たり前の世界なので、学校はローカルエージェントを嫌う傾向にあります。学校によっては、ローカルエージェントとは提携しない、というかたくなな姿勢をとっているところもあります。そういった事情が、結局は、めぐり巡って生徒さんに跳ね返っているのです。

まだ大切な部分が残っていますが、それはのちほどお話します。

 

 

 

<“悪徳系”業者とは?>

ところで、巷でうわさの「悪徳系」エージェントとは、どんな業者なのでしょうか?高い手続き費用をとる業者?もちろん、法外な費用を請求してくるエージェントは注意が必要ですが、金額にかかわらず、その中で何をしてもらえるのか、自分で何をしなければならないのかをよく確認して、費用と照らしあわせて自分が納得できれば、それはあなたにとって「悪徳系」とはいえません。いくら手続き費用がかかっても、やっぱりお任せしてよかったと思えるだけのサービスや付加価値があるのなら、まず問題はないでしょう。それよりも、手続き費用の有無にかかわらず、「○○しますよ」と約束したサービスを行わない業者はどうでしょうか?仮に、「手数料無料」というエージェントであったとしても、その中で「これは当社で手続きします」といわれたことをやってもらえなければ、契約不履行であり、りっぱな「悪徳系」といえると思います。

<エージェントを利用する際のチェックポイント>

まず、エージェントを利用する場合は、次のポイントをチェックすれば、トラブル発生率を大幅に削減することができます。

■資料はすぐ送られてくるか?
資料請求から何週間も音沙汰なし、というのは、何かあったときの対応もどうなのかな、という不安があります。避けたほうが無難かも。

■手数料に含まれるもの、含まれないものは明確か?
何をやってもらえて、何を自分でしなければならないのか、ちゃんと教えてもらいましょう。

■取消・変更手続きの規定、研修費の内訳、計算方法は明示されているか?
留学協会のトラブル相談に寄せられる最も多いケースが、「返金トラブル」です。多くは、契約書に ちっちゃな字で 書かれているのですが、「ここに書かれているのに確認しなかった生徒さんが悪い」というエージェントの言い分もあれば、「こんなものじっくり読む人なんかいない、ちゃんと口頭で説明すべきだ」という生徒さんの言い分もあり、言った、言わないという不毛な争いになることが多いようです。

学校側の問題だけでなく、生徒さんのやむをえない事情など、どんなことで中途キャンセルや予定の変更があるかもしれません。留学には多額の費用がかかります。何にいくらかかっているのかを知ることはもちろんのこと、どのような場合に、内訳のどの部分に、どれだけの返金があるのか、きちんと説明してもらって理解しておくことで、トラブル発生率は大幅ダウンです。

■利用者の体験談を見せてくれるか?
エージェントは、その学校やクラスの見学をしています(しているはずです)が、その学校に通ったわけではありません。カウンセラーの話は、カウンセラーという立場から、生徒さんを安心して預けられるかという視点であることが多いです。それはもちろん悪いことではありませんが、やはり実際に毎日その学校に通って勉強した生徒さんの声も聞かせてもらえると安心ですし、エージェントもそれだけ誠実であるといえます。

■現地でのサポート体制は?
現地オフィスがあって、日本人スタッフがお世話してくれるというところもあるでしょうし、渡航したら契約は終了ですよ、というところもあるでしょう。「現地では何事も経験、自分でやっていきたい」という生徒さんであっても、やはり万一のために相談できる相手は見つけておくべきです。現地オフィスのサポートがないとしても、現地からも日本のご家族からも、日本のカウンセラーに連絡が取れて、相談に乗ってもらえるのかどうかは、確認しておきましょう。

■緊急連絡先があるか?
出発が近づくと、急に不安になったり、「あれは買っておくべき?」という疑問や、「あっ!○○し忘れた!」といったように、急にカウンセラーに連絡が必要なこともでてきます。そんなとき、オフィスはお休み。連絡がつくのは2日後、なんてどうでしょうか?留学は、大切な将来への大きな投資である以上、いつでも連絡の取れる緊急連絡先を教えてもらえるのも、大切なポイントです。

■学校と仲が良いか?
先ほどの、エージェントと学校の関係のお話の続きです。おそらく、この点を意識する人はあまりいないと思いますが、エージェントと学校の関係がうまくいっているかどうかというのは、実はとっても大切なポイントです。

これは私が10年間留学コンサルタントとして多くの学校と接してきて言えることなのですが、学校のスタッフさんから「うちが生徒さんを紹介してやっているんだ、という態度のエージェントが多い」という話をよく聞きます。学校のスタッフがカナダから日本に出張に来て、エージェントからアポイントを平気ですっぽかされることも、よくあるそうです。「エージェントのオフィスに行ったら、また誰もいなかった!もう、あそこからの生徒は受け入れない!」なんて怒っているスタッフの話を聞くたびに、同じエージェントとして情けないなぁと思うのです。ゲートウェイ21の件では、学費の支払いが滞ることが非常に多かったため、ゲートウェイ社を通じて登録された留学生の受け入れを拒否されるというケースもあったと聞きます。

エージェントのほうが学校より立場が上だなんて、それは絶対に間違っています。エージェントだって、生徒さんを暖かく受け入れて、しっかり教育してくれる学校がいなければ、たちまちつぶれてしまうのです。それに、生徒さんが安全で快適にしっかり勉強してくれること、満足してくれることこそが、ひいてはエージェントの実績にもなり、エージェントの存在意義でもあるわけです。学校だって、中身は人間です。「あそこのエージェントから来た生徒さんだから、大切にしよう」と思ってもらえるように、エージェントは学校と常に良い関係を築いておかなくてはらないのです。学校をないがしろにするような態度は、間違っても取れるはずがありません。ひいてはそれが生徒さんに跳ね返り、そして自分の首を絞めることにもなるんですから。

私は、学校のスタッフさんとは、できるだけ親しくなろうとしています。お仕事のメールにも、さりげない近況報告や、雑談を交えて、さらに「いつも生徒さんを暖かくサポートしてくれてありがとう」という感謝の言葉も付け加えます。生徒さんから何かしらの指摘があれば、必ず学校に伝え、お互いが生徒さんにとって良いサービスができるよう話し合います。そうすることで、学校からも信頼され、生徒さんと互いに手をつなぎ合う、より良い三角関係が生まれることを実感しています。ずるいようですが、生徒さんをVIPとして扱ってもらっている学校も多々あります。

このように、学校と仲のよいエージェントを利用することは、いろんな部分で、あなたのためになります。何かあったときの対応も安心です。でも、エージェントと学校が仲がいいなんて、どうやったら分かるの? ごもっともなご質問です。それは簡単。カウンセラーに、「○○という学校のスタッフは、どんな人なんですか?」って聞いてみてください。「あんな人でね、こんな人もいてね」と話をしてくれるようなら、間違いなく良い関係が築けているはずです。

 

 

 

<カウンセラーのチェックポイント>

■目的や希望、条件をしっかり聞いて、良い点も悪い点も教えてくれる
学校の特徴は、受け取る側の主観によって、良い点にも、悪い点にもなります。たとえば、【イベントが多く、学校全体でアクティビティを積極的に楽しむ学校】なら、友達を作りやすくフレンドリーな環境という良い点でもありますが、「毎日誰かのお誕生日のたびに集まってお祝いするなんて…放っておいてほしい、幼稚だ」と思う生徒さんにとっては、悪い点と言えます。カウンセラーが“あなたにとっての悪い点”についても話してくれるなら、それはあなたのこと、あなたの希望が良く分かっている証拠です。 また、問い合わせた学校と全く違う所を勧められたら、その根拠をよく聞いておきましょう。

<現地で気をつけておこう、留学を成功させるヒント>

最後に、現地で常に心の片隅においておくべき、留学という投資で大もうけする秘訣をお教えします。

■なぜ留学するのか、明確な目標を持つ
留学中は、真っ暗なトンネルを手探りで進んでいくようなもの。文化も言葉も違う環境、思い通りにならなくて、バッタリこけてしまうこともあります。そのたびに、挫折しそうになります。そんなとき、なぜ自分がここカナダにいるのか、その意味と目的をはっきり思い出すことができれば、トンネルの先に光(留学の目標)が常に見えていれば、進む方向を間違えません。また立ち上がって、光に向かって進むことができます。

■インターネット等の情報を鵜呑みにせず、複数の情報源を利用する
インターネットには、成功事例よりも失敗事例、誹謗中傷といったマイナスの情報があふれています。マイナスの情報を知ることはとても大切ですが、インターネットの怖いところは、匿名性が高いことです。たとえば、掲示板に書かれた情報が常に正しいとは限りません。一つの情報に振り回されずに、複数のリソース(情報源)で確認するようにしましょう。

■「学校に通えば英語が話せるようにしてくれる」は大きなマチガイ
分かっていても、つい忘れがちです。語学力の習得はスポーツと同じ。どんなに良い設備(学校、コース)、道具(教材)、コーチ(講師)が揃っていても、肝心の本人が練習しなければ、絶対に上達しません。留学にかけた学費の元を取ることができるのは、あなただけです。待っていても、与えられるものはありません。自分から積極的に話す機会や楽しむ機会を見つけて行動するようにしましょう。

■日本のものさしは脇に置いて、違いを楽しむ
大らかなカナダでは、「日本じゃありえない!」と叫びたくなるようなことも日常茶飯事です。しかも、残念ながら、あなたがカナダの風習を変えることは相当難しいでしょう。いちいち日本のものさしで測っていては、ストレスのもと。日本のものさしはちょっと脇に置いて、違いを楽しむ余裕を持ちましょう。ずっと暮らしが快適になり、もっとたくさんのものが見えてくるはずです。

■相談できる人をつくる
学校のスタッフ、日本のカウンセラー、ホストファミリー、お友達など、必ず相談できる人を見つけておきましょう。話をするだけで解決してしまうことだってあります。一人で思い悩むと、ろくな結果にはなりません。

辛口になってしまいましたが、あなたの将来を左右するかもしれない、大きな投資である留学を成功させていただくために、少しでも参考になれば、とっても嬉しいです。今後も定期的にレポートをお送りします。キャリアコンサルタントとしての視点からもレポートしていきますので、楽しみにしていてくださいね。これからこんな特集をしてほしい、といったリクエストも大歓迎です。

弊社では、ご希望をいただいた生徒さん以外にこちらからお電話をすることは一切ありません。もし、何か分からないことやご心配なことがありましたら、私まで amano[at]gett.co.jp 直接メールをいただくか、078ー341-6555までいつでもご連絡ください。

 

 

留学コンサルタント

天野 陽介/Yosuke Amano